消費者中心時代のマーケティング
japan.internet.comの消費者中心時代のマーケティング発想を読んで思うこと。
以前に(株)四次元データ(現シナジーマーケティング(株))の今村氏が
「“儲ける仕事”はしたくない」
“儲ける仕事”をしたいとは思いません。「儲ける」という他動詞が気に入らないのです。「儲かる仕事」こそしたいと考えています…。何かを私に期待した人が、喜んで対価を支払ってくれる仕事がしたいと常に考えるようにしています。
と、仰っておられたのを思い出します。
冒頭に紹介した記事にあるような仕組みづくり、
一見すると、「売るための仕組みづくり」と「売れる仕組みづくり」は同義であるように感じるが、決して同義とはいえないだろう。なぜなら、「売るための仕組みづくり」には、企業側が消費者をコントロールして商品を“売る”という発想があり、「売れる仕組みづくり」には、消費者が能動的に買ってくれることによって商品が“売れる”という発想が根底に流れているような気がする。
つまりは、言葉の裏に商品の購買行動におけるイニシアチブは企業側にあるのか、消費者側にあるのかという認識の違いが見て取れる。そのため、前回マーケティングを定義付ける際に私はあえて後者である「売れる仕組みづくり」という言葉を使わせてもらった。
なお、こうした認識の相違はなぜ生じるのだろうか。それを考えていくと、おそらくそれはマーケティングのパラダイムが変容しつつある現在において、旧来のパラダイムに捕らわれた層と新たなパラダイムを積極的に取り入れる層との間にギャップがあるのではないかと思う。
なぜなら、旧来のマーケティングではどうしても企業発想が先行しており、消費者を軽視しがちな傾向がかいま見えた。ある特定の商品の購買層を言い表す際に使う「ターゲット(ターゲティング)」などは、その最たる例だろう。
以前に情報の流れの変化を分かりやすく解説した記事を紹介したことがあったのですが、もはや企業が消費者に対してモノを「売る」そして「儲ける」という発想自体が立ち行かなくなる気もします。
消費者中心時代のマーケティングとは、中長期的な視点において「売る」から「売れる」へ、「儲ける」から「儲かる」へと戦略をシフトしていくことにあると思います。「売れる」会社、「儲かる」会社になるためには良きビジョンがあり戦略があった上の計画的な事業活動が必要なはずです。そしてそういった事業活動はすべて企業のブランディングにも寄与していくはずです。
創業して10年以上も経つのにブランディングできていない会社はドキっとしてください。もうすでに今は「売る」ためのマーケティング戦略は通用しにくい時代です。
GMOベンチャーパートナーズの村松氏がご自身のブログ「ソーシャルメディアはマーケティングを変えるか」で仰っていたような
より大きな期待感を持っているのは、自らのマーケティングプロセスを「ソーシャルX」(X=メディア、ブックマーク、ネットワーキング、ニュース、その他諸々)時代のネイチャーに適合させ急成長する新たな会社である。
CATVがインフラになれば多チャンネル選択視聴形態をネイチャーにMTV、CNN、QVCが出てくるし、インターネットとカード決済がインフラになればAmazon.comが、ブロードバンドがインフラになればYoutubeが出てくる。
そしてマーケティングプロセスの点で注目しているのは、消費者の行動は「AIDMA」から「AISCEAS」(Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Comparison(比較)、Examination(検討)、Action(購買)、Share(情報共有)へと変化している点である。
これを受けて住さんのブログエントリー「SMOのマネタイズ」の中でソーシャル何々の危険性を指摘されながらも
SMOをSEOの周辺領域に組み込んだ上でマネタイズできるモデルを考えてみると、やはりコンサルティングを提供するようなモデルが適切と思われ、実際のサービス提供方法はといえば、サービスを提供する業者の側から見て魅力的なのは「固定費型」、サービスを受ける側から見て魅力的なのは「成果報酬型」となると思います。
ソーシャルメディアとの関わりを最適化していくことのできる(またはできそうな)ノウハウをもっているのは、現時点では、広告代理店やSEO関連業者やWeb制作関連業者などではなく、「ビジネスブログ活用」のようなコンサルティングや実装、トレーニングを提供しているファームが最も近いのではないかと思われます。こうしたいかにもWeb 2.0的なプレイヤーから、村松さんの言う新たなイノベーターが生まれてくるのかもしれません。
必要なのは便利なツールやメディア自体ではなく、その上手な使い方にあるはずです。SEOやSMOといったものも「売れる仕組み」を作るために必要なインターネット活用戦略の一つです。そして「売れる仕組み」が出来るまでには「売る(知ってもらう)」過程が必要であり、そのために従来のチラシやDM、各種広告媒体も活用していく必要があるはずです。
僕たちの会社でも船井総合研究所の酒井さん(弊社ツールの活用事例もひとつお話頂いています)のような方とともに、従来の販促手法と組み合わせて、インターネットを利用し社内、社外のそれぞれに向けて如何に効率的且つ効果的に情報を発信・共有していくべきかという手法をコンサルテーションする取組みを始めています。
そして特にインターネット活用という点においては、マーケジンの連載で棚橋氏が仰っていたようなことを企業への実践的なコンサルテーションを行いながら実現しようと思っています。
ベキ乗に広がる裾野をもつ市場と有益なコミュニケーションを行おうとすれば、これまでのように単一あるいは限られたメッセージを広範囲に繰り返し発信するやり方だけでは不十分です。CMSを利用してWebサイトでの情報発信の速度をアップし、情報の蓄積によって検索エンジン経由のアクセス機会を増やし、かつ継続的なコミュニケーションによりユーザーとの関係性を強化することが必要です。さらには従業員によるブログ・コミュニケーションを積極的に推進して、ユーザーを巻き込むような形で会話の輪が広がっていくような形も平行して実施することも必要ではないかと思います。
このような従業員によるブログなどを通じたコミュニケーションの手法を、CGM(Consumer Generated Media)になぞらえてEGM(Employee Generated Media)と呼んでみたいと思います。EGMとCGMのあいだで交わされるコミュニケーションがこれからのマーケティングの1つの形となり、ベキ分布の世界で企業が市場へのリーチを伸ばす原動力になるのではないかと思います。ロングテールの長い尻尾を可能にするリソースは、境界線で管理された範囲の内にあるのではなく、無限に近い可能性をもつ人々 −一般の人々や従業員− の思いの中に、そして、その組み合わせから生まれる関係性の中にこそあるのですから。
企業が提供するモノを、それに対しての対価を支払う消費者が、消費者自身によって判断するための情報を発信し共有することができるようになるということは至極当たり前に消費者にとって良いことであり、より良い方向へと向かって道具を持ち頭を使いながら進化してきた人類にとってはこのような時代が訪れるのも当然の流れな気がします。
そしてこの流れに抗う企業が生き残っていけるはずもなく、どう一緒になってうまくやっていくかを考えていく方が現実的なはずです。
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